明治27年創業の菓子専門店『梅月堂★ばいげつどう★』。長崎市の繁華街、観光通りアーケード沿いに店はある
長崎県内というワケではなく、長崎 市内でしか販売されていないケーキがある。純正なカスタードクリームをスポンジケーキでサンドし、上部には生クリームと甘く煮た黄桃、パイナップルだけをトッピング。これが1日600個以上も売れるウワサのじげもん(地元の)ケーキである。
シースクリームの登場は、昭和30年。長崎でも老舗の欧風菓子店「梅月堂」で、当時はまだ珍しかった生クリームに目をつけた2代目本田久喜社長の手によって生まれた。ふんわりとした口当たりもあってか、シースクリームは飛ぶように売れ、昭和40年代に入ると、ショーケースに並べる間もないほど爆発的な売れ方をみせた。もう苺ショートどころではない。この味の虜になった長崎市民は、他のケーキなんて目じゃございません!≠ニばかりに店へ駆け込んだのだ。その人気ぶりは今の時代になっても変わらない。恐るべしシースクリームである。
クール便での地方発送もしており、半分ほど解けてきたぐらいを食しても美味な逸品
さて、ここまで紹介していて、まだひとつふれていないことがある。それは、シースという商品名の来歴だ。その名前は、発売当初のケーキの形に由来する。エクレアのように細長くしぼって焼いた2枚のブッセ生地に、カスタードクリームをはさみ、切り口を上にして置いた姿が莢に入った豆のように見えたらしい。それで英語辞書を調べたところ、「sheath」が出てきた。実はこの単語、刀の鞘の意。本当は「pod」が豆類の莢の意。そう、間違えたのだ。これに気づいたのが数年前というから、ちょっと笑える。今は「ceece」という意味はない単語に変わり、名実ともに長崎だけのケーキに相成った。





