長崎市の繁華街から県庁へと向かう道すがら、道行く人々が同じ方向にちらりと顔を向ける様子を目にする。後を歩く人々は“なんだろう”と、またその方向に目をやる。そして驚く。ショーウインドーにズラリと鎮座する長崎くんちのミニチュア。「こりゃ凄かばい!」。では、一体何の店か? 実は理容店である。製作者はオーナーの立石侃さんなのだ。

手前に龍踊り、奥には龍船のミニチュア。今日までに製作した作品は20を超える

長崎くんちとは、370年余りの歴史を誇る長崎市・諏訪神社の秋の大祭。毎年10月7、8、9日の3日間催され、龍踊りや阿蘭陀万才など、異国情緒に溢れる出し物が披露される。『理容たていし』を経営する立石侃さんはこの祭りに魅せられ、平成15年から写真集などをもとに独自の方法でミニチュアを製作し始めた。

「仕事の合間にやっているので、モノによっては3ヶ月〜半年かかることもあります。材料は新たに買ったりせず、あるもので作っているんですよ。はた目には分からんでしょ?」。よく見れば、船の欄干は編み棒、板などは菓子などの化粧箱を再利用、船の中で叩いているシンバルは10円玉と、驚きの材料に舌を巻く。顔も手書きゆえに愛嬌があり、旗も提灯もとにかくリアル。これらが意外な材料で作られているから、驚きもなおさらだ。

今でこそモノに溢れ、買えばなんでも手に入る時代。モノの有り難さ、大切にしようという気持ちが、このエコミニチュアから、もの言わぬ厳しさとして伝わってくる。

高岡醸造株式会社

理容たていし

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